巡り巡って私の手元にやってくることになった編物道具。
それは、この世を旅立たれた方たちからの贈り物でした。
今回、譲り受けることになった編物道具は、二人の優しい先生たちから届いた物です。
ありがたくもありながらも複雑な、ちょっぴり切ない、
そんな編物道具たちをご紹介させていただきます。
贈り物の編物道具 〜その1
まず最初の編物道具は、私が幼少の頃からお世話になっていた手芸屋さんのお母さん先生でした。
認知症になられてもいつも明るくて元気で、ご家族のサポートを受けながら続けていたのですが、惜しまれながらも旅立たれました。
優しかった先生で、娘さんの方の先生に習い事をさせていただいていました。
娘さん先生の都合が悪い時などに、そのお母さん先生にも何度かみてもらっていたことがありました。
いつも温かくて、全て受け止めてくれる、そんな懐の深い先生でした。
その人を物語るような笑い皺がたくさんそのお顔には刻まれていて、
朗らかで優しかった笑みが忘れられません。
いつも生徒の歩調に足並みを揃えていただける先生でした。
譲り受けたのは、手芸屋さんで不要になった毛糸や編針など。
下記画像はその一部になります。
編針(かぎ針)はかなり古くて、今では販売されていない物となります。
下記のような、クロバー パールかぎ針、クロバー カラーかぎ針、
プラスチック性の物で、少し埃はかぶっていますが月日の流れを感じます。
下記のレース針も、長さが短くてはじめて目にしました。
一つ一つにケースがついています。
おそらく昭和だと思いますが、字体などもとてもレトロ感があります。
毛糸も大切に保管されていたので、何十年も前のものですが、色あせずにこれからも利用できる物でした。
贈り物の編物道具 〜その2
続いての編物道具は、昔から編み物教室をされていた編み物の先生から届いた物。
長きにわたり、地域の編み物教室をされておられました。
わたし自身はお目にかかったことはなかったのですが、
現在、編み物教室で関わっているおばさま生徒さまたちが、若いころに習われていたという編み物の先生です。
こうして間接的にでも自分の手元にやってきたのも、何かのご縁ゆえだと感じます。
その先生から譲り受けたのは、たくさんの箱買いされたかぎ針たちの一部です。
時代ものなので、今の時代のかぎ針のようにグリップがついていないのですが、
当時は、このかぎ針で編み物を習いに来られた生徒さんがお求めされていたんだなぁと思うと、大変感慨深いです。
編み物愛、それぞれの想いを胸に
今回ご縁があって手元に届いた、それぞれの先生たちからの編物道具。
旅立たれたあとで届いたこれらの遺品は、色々な想いが巡りました。
どんな想いで購入されたのか・・・、物には想いが宿るといわれます。
- 手芸屋さんには手芸屋さんの想い。
- 編み物教室の先生には編み物の先生の想い。
どちらも、編み物への愛が深く深く込められているのが、このレトロなかぎ針たちをみていて大切にされてきたことからも伝わってきます。
- どなたかに編み物を始めて欲しい
- このかぎ針が編み物をする人に役立って欲しい
- 編み物が広まって欲しい
- 編み物を楽しんで欲しい
どのお品も、こんなふうにそれぞれのところで「控え選手」として大切に保管されていたのでしょう。
亡くなられたその背景を考えると、たまらなくなりますが、
こうしてご縁あって私の手元に届いた「編物道具」を活用させていくのが、
お二人の先生たちへの私なりの恩返しとご供養になるのだと、
前向きに受け捉え、大事にさせていただこうと思っています。
古い物でも、きっと必要な方の元へ届いていくことでしょう。
- グリップが持ちにくいから、ストレートなかぎ針の方が使いやすいという方がいるかもしれない。
- このゴールドのかぎ針が懐かしくて、こちらを使いたいという方がいるかもしれない。
そんなふうに役立てていくことができるよう、今回の貴重な編針たちを、
早速、教室の「編み物体験グッズ」の中に加えました。
いただいた編物道具を活用しているそのご様子を、
どうか、楽になられたあちらの世界から、お見守りいただけますように。
そして私という媒体を介して、お二方の編み物への想いや愛が、
小さな町から近隣地区へと、人から人へと、少しでも伝わっていきますように。
自分にできる、小さなお手伝いをコツコツと形に、地道な編み物活動を続けていきます。
願いと祈りを込めて。
お読みいただきありがとうございました。