ある日の70代〜80代の年配の皆さんが集う日。
編み物教室に参加してくださった方から、「座布団が編めた」と写真を送ってきてくださいました。
可愛い配色ですね、編んだご本人の性格があらわれているように
温かみが伝わってきました。
70代のその方は、手芸は得意な方なのでかぎ針編みもすぐにマスターされました。
この後、色をかえて5個は同じ座布団を編んだそうです。
お友達やお孫さんにプレゼントできたと、とても喜んでいらっしゃって、
出来上がったこと、プレゼントされたことをとても嬉しそうに話してくださり、聞いている私まで嬉しくなりました。
成功体験
人は幾つになっても「成功体験」というのができる生き物だと常々思います。
見えにくい編み図も少し見えやすいように、編みやすい工夫をして、ちょっと持ち方を変えたら、一段と編みやすくなる。
昨日できなかった玉編みも、今日は1つできて、
その次は1段できて、と少しずつ進むことができていって。
1週間前には、糸1本だったものが、1段となり10段となり、
やがては一つの座布団となり、暮らしを彩る。
「次は何を編もうかしら?」と、
それは次の作品への意欲となり、その人にとってのエナジーとなっていく。
人生の先輩は編み物の先輩
中には80代の方もいらっしゃり、その方は私よりもうーんと長い編み物歴の持ち主さん。
人生経験でも編み物においても先輩なので、なんだか烏滸がましくて恐縮してしまう。
いつも黙々とかぎ針編みのウェアを編まれていて、自分の世界を持っておられ、素敵だなぁと思い密かに勉強させていただいています。
編み物のアンテナ
そして、ちょっと変わった編み物を持っていたり身に付けていたりすると
「それはどうやって編むの?」と聞いてきてくださる。
実はそれをねらって今日は何を持って行こうかなと仕込んでいくのですが、
それに気がついてくださると、本当に嬉しい。
80代でも編み物のアンテナがピン!とはっているのを感じる瞬間です。
編んでみたいものや、次の作品へと繋ぐ架け橋となりたくて、
自分でわかることならと少しでもわかりやすい編み図を用意したり、色々試行錯誤をする日々。
「編めたよ〜!」とその瞬間のニッコリ笑顔が待ち遠しくて、一緒に編む日々。
自己効力感と連鎖する笑顔
80代の方がチャレンジされる姿、その自己効力感が笑顔をもたらす。
そしてそれは周りのお友達みんなにも連鎖する。
そんな光景を、私なりに見守っていけたらと願うのです。
99歳の手仕事
かつて介護士さんたちのレク(レクリエーション)に紛れて、手芸のレクの時間はここぞとばかりに参加させていただいていて、
今でも思い出すのは、視力がほとんどない状態でこぎん刺しをされる99歳の方の手の動きだったりします。
皺皺になった手が指が、その感覚を覚えておられて勝手に手が動いていく、そんな手仕事が今でも忘れられずにいます。
小さな喜びに感謝して
今度はどんなものが編みたいかな?
どんなものなら編みやすいかな?
どんなふうにしたら編み上がるお手伝いができるかな?
そんなことを考えていられる時間に感謝しながら、
編み物ができることに「ありがとうございます」と心の中で手を合わせる。
そんな小さな喜びを、小さな日々を抱きしめながら、これからも自分の編み物の目標に向かっていけたらいいなと新米講師の奮闘は続くのでした。
お読みいただいてありがとうございました。
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